部屋の片付けをしました

片付けが、できません。

幼い頃から、私の勉強机の上は提出期限の迫ったプリントや、開いて突っ伏したままの本や、無駄に数のある文房具などでいっぱいでした。大人になった今でも、私の寝室は(私が一番落ち着く場所であるにもかかわらず)いろいろなものが散らばり、足の踏み場がないほどです。

 

しかし、この状態が決して心地よいものであるとは思っていません。なのに、いざ片付けようとすると、何から手をつければよいのか分からず、どんどん億劫になり、そしてまたものが増え…を繰り返してしまいます。

 

私は気づいています。心の状態が不安定であればあるほど、部屋が散らかるのです。最近はちょっと落ち込んでいましたから、寝室はひどいことになっていました。開いたままのクローゼットには夏服と秋服が入り混じり、テーブルの上には最近買ったコスメたちがいろんなところに置いてあり、ベッドメイクもされておらず…まさに、荒れ放題でした。さすがの私でも、この荒地の上で身体を休めるのが不快になってきました。

 

そろそろ片付けないとなあ…と思えること。これは体調が回復してきたサインです。善は急げ、思い立ったが吉日。この荒地を、美しい庭園に変えてみようではないか。10月15日の日曜の朝、私は一念発起しました。

 

まずは、床が見えないほどに落ちている夏服たちをどうにかしよう。異常なほど暑かったこの夏をともに過ごした洋服たちにありがとうを告げて、クローゼットに、少しずつ秋を吹き込んでいく。えんじ色のジャケット、からし色のパンツ、馬の蹄鉄が描かれたセーター。もうすぐ来る寒い季節を見据えながら、ちょっとずつ身にまとう洋服の丈が長くなるこの時期が、とても好きです。

 

さあ、次はテーブル。このテーブルは備え付けのもので、シンプルな見た目だけど頑丈で広くてとても気に入っています。テーブルの右端には鏡やブラシ立てを置いて、鏡台の代わりにしています。化粧品を整理したあと、この季節をイメージして、鏡の隅に琥珀でできたブローチを飾りました。私の机にはちょっとした棚があるのですが、そこにはお気に入りの本を飾ることにしています。江國香織さんのエッセイを飾りました。

 

気がつけば3時間が経ち、すっかりきれいになった我が寝室を眺めると、「本当にここが私の部屋なのか…?」と信じられない気持ちになりました。この日の夜は、久しぶりにアロマポットを炊いて眠りにつきました。香りはヒノキにしました。きれいなお部屋、心地いいなあ…と、良い気分でした。

 

朝、目覚めると、テーブルに金木犀が飾ってありました。毎年、秋になると知人が庭の金木犀をちょっとおすそ分けしてくれるのですが、今年もこの季節が来たようです。我が家にもすっかり秋が来ました。

難しい顔

最近、調子の悪い日々が続いていました。職場で預かっている子どもたちと過ごしている時でも、憂鬱な気持ちがもやもやと心を覆って晴れないことが多々ありましたが、それでも過去のようにお酒には頼らず、処方された規定量の精神薬のみでやり過ごすことができています。

 

そうやって、なんとか10月11日の水曜日までたどり着くことができました。この日は仕事がお休みでしたが、インフルエンザの予防接種を受けなければなりませんでした。予約は午後でしたので、それまでは近くのショッピングモールで暇を潰すことにしました。

 

新鮮な野菜を、たくさん買いました。ねぎ、なす、だいこん、トマト、れんこん。私は野菜を嫌わない子どもだったので、煮たり炒めたりはもちろん、生のものもよく食べました。植物が好きです。なんにも話さないけれど、だからこそ凛としていて、それでいて個性がある。野菜を食べると、このつまらない日々の繰り返しが、その苦味やかすかな甘みに包まれて、一瞬、なんとなく生活がとても良いもののように思える。農家から直接仕入れられた、たくさんの野菜たちを家に持ち帰る幸せ。野菜が大好きです。

 

これから私の胃袋に収められる運命の野菜たちを抱えながら歩いていると、コスメ売場に着きました。きれいな女性が、『パーソナルカラー診断、しませんか』と私を誘っています。面白そうだったので、お願いすることにしました。

 

女性は私の腕の血管や、瞳の色、肌の色をじっと見つめたあとに、『う〜ん…』と小さく唸りました。そのあと、濃い赤や山吹色、えんじ色などの布をたくさん胸に当てられました。女性はしばらく『う〜ん』と悩んだあとに、眉間にしわを寄せながら、『お客さん、難しいですね…』と言いました。なるほど、私の顔は難しい顔なのか、と、鏡を見ながら思いました。

 

女性によると、私の顔はいろんな要素があるのだそうです。総合的に判断すると、結果としては「ブルーベースの冬」なのだそうですが、「夏」の雰囲気もあるらしく、私はその曖昧さにパーソナルカラーなるものの信ぴょう性を疑いかけていたところでした。でも楽しい経験だったのでそれだけで価値があると思うことにして、試しに私に合うメイクを施してもらうことにしました。目が丸いので、濃いめのブラウンのシャドウを、横長に塗って横長に見せるのがポイントなのだそう。適当なメイクをしている普段よりも、うんとキリッと大人っぽい自分を見て、メイクの力をまじまじと思い知らされました。女性は私に施したメイクが気に入ったようで、私が帰るまでなんども『雰囲気が変わりましたね〜』と言っていました。

 

そういうわけで、ワクチン接種にはバッチリメイクで向かうことになりました。周りには同じくワクチン接種を受けに来た子ども連ればかりで、ひとり変に着飾った私だけがどうも浮いていました。私は呼ばれるまで隅の方で立っていました。そばに座っている女性に抱かれた赤ちゃんと目が合ってしまったので、しばらく見つめ合っていたら、赤ちゃんは怪訝な、難しい顔をしていました。同じ「難しい顔」でも、赤ちゃんのそれはどんなに難しくても愛おしいものなのだなあ、と思いました。

水中読書

今、私は本を読んでいる。

本を読んでいるが、その姿は丸裸である。なぜ裸なのか、そもそもここがどこであるのかすらも分からないが、そのことはどうでもよい。とりたてて騒ぐほどのものではない。とにかく私は今、本を読みながら裸で生ぬるい水に浮いていて、ぷかぷかとても気持ちが良い。胎内のころの記憶はまるでないが、この水の中で私は、その感覚を再び知ったところでもある。

 

さて、とにかく私は今たいへん良い気持ちでいるところであるのだが、肝心の本については話が別である。この本というものがとてつもなく大きい。私の身体ぐらいあるページを、いっしょうけんめいにめくりながら、いっしょうけんめいに読むようである。大きいなら大きいなりに、ページいっぱいに面白いことがびっしりと載っていればよいのだが、なにしろ文字が虫のように小さくて見えない。この空間はとても心地良いが、ここでの読書という行為は確かな苦痛を伴うものに違いなかった。

 

ところが、巨大な紙をめくりつづけていると、あるひとつのページだけ文字が大きい。この苦痛にそろそろうんざりしてきた私は紙をめくるのをやめ、それをまじまじと眺めた。ーーーその文章の美しさたるや、どんなに名著といわれたものにも及ばない。私は何度も何度もそれを目で追った。それは見たものを恍惚とさせるが、愉快な気分にもさせる。それでいて、ちょっと陰鬱な印象も受ける。我を忘れた私は、思わず並んだその文字たちに手を伸ばしたーーー。

 

ーーーという夢を、先日昼寝をしたときに見ました。この「文章」、ほんとうに素晴らしいものであった感覚は脳に残っているのですが、肝心のその中身は完全に忘却しました。

 

以前、このブログの前身となるところで、頑張って短編小説を書いたことがあります。それもこの記事の冒頭のように、実際に見た夢を題材にしました。その夢もとても素敵なものだったのですが、私が脚色するとあら不思議、見事に大変つまらないものに変身しました。書いてすぐの頃は偉大なショートショートでも生み出したような気がするのですが、時間が経ってそれを読み返すと鳥肌が立って止まりませんでした(冒頭もだいぶ寒いですが)。何度読んでもあれは、若さゆえの愚かさを煮詰めたようなしょうもない駄作です。

 

それから、私は執筆に関しては、複雑にはせず、できるだけ単純に、自分が感じたことを素直に文字に起こすようになりました。あのくだらない短編小説が、ある種のトラウマになっているのです。気を衒うのは簡単だけれど、シンプルなものほど技術が必要だということに、ようやく気がつきました。

 

でも、この「夢日記」、めちゃくちゃ寒い行為だとは分かっているのですが、それでもついやってしまうんです。ポイントは、好きな作家の文体や雰囲気をとことん真似すること。意外にも楽しいので実はおすすめです。面白い夢をよく見る方はぜひ。

おいしいぶどうを食べました

夏は果物がおいしい季節ですね。果物が大好きな私は、ももになしにすいかにさくらんぼ・・・と、スーパーの青果コーナーで思わずわくわくしてしまいます。

 

そのなかでも、特別好きなものがぶどうです。その深い深い紫色を眺めていると、日本で紫が高貴な色とされてきた理由が分かる気がします。数ある農産物のなかでも、とりわけぶどうは手間暇がかかると聞いたことがあるから、大切に大切に、一粒ずつゆっくり食べる。ぷちっと口の中で果肉がはじけた瞬間、甘い果汁とかすかな酸味が広がっていく。皮ごと食べれるものは贅沢な感じがしていい気分になる。でも、粒が小さいとたくさん食べられる気がして、それもまた嬉しい。私にとってぶどうは、果物の王国の女王。気品があり、ちょっとツンとしていて、でも中身は甘い。

 

この夏はぶどうをたくさん買って、食べ比べをして楽しんでいます。まずは定番、デラウェア。安定したおいしさで、いつもそばにいてくれる、ぶどう好きの味方。デラウェアを見ると、幼い頃に食後のデザートとしてこれが出てきたときの嬉しかった気持ちが鮮明に思い出されます。

 

最近食べて衝撃を受けたのが、粒の大きなタイプの「藤稔(ふじみのり)」。皮ごと食べられるのだろうと思って口に放り込むと、歯で皮がスッと剥けます。果肉を噛みしめると、驚くほどのジューシーな果汁が溢れて止まりません。その味わいを例えるとしたら、『果汁が多くて、粒の大きなデラウェア』といった感じ。お手頃価格で贅沢感を味わうことができます。

 

スーパーでたまたま出会った「ブラックビート」という品種も良かった。特筆すべきは、頬張らないと口に入らないほどのその大きさ。藤稔とピオーネを掛け合わせたものということで、濃厚な甘みと程よい酸味がおいしかったです。身が程よく引き締まっているので、食べ応えは満点。

 

特別おいしかったのが、かの有名な「ナガノパープル」。その名の通り、長野県で生まれたもので、ひと房何千円もする高級品種です。このぶどう、とにかく甘い。酸味や皮の渋みをほぼ感じないのです。味のまとまりが非常に良いので、気をつけないと一度にひと房食べてしまいそうになります。まれに熟れてしまったものがパックで安売りされているのを見ると、私は必ずそれを購入し、この紫色の宝石が近所のスーパーに流通していることのありがたさを噛み締めながら、大事にいただくことにしています。

 

さて、私のぶどう評論家としての活動はまだまだ続きます。今日は青果店で地元の農家さんが作ったというシャインマスカットを購入しました。ぶどうって、たとえば桃のように素晴らしい香りがするわけでもなく、いちごのように可愛らしい見た目でもないけれど、食べると嘘のようにおいしいのがとても良い。この不思議な果物が、私はとても好きです。みなさんは、どの果物がお気に入りですか。

2023年のお盆休み

8月も中旬に入りました。お盆は珍しく連休をもらえることになっていたので、その間は思い切り楽しもうと決めていました。


働いて分かったこと。お休みの前日の退勤間際って、とっても幸せ。それが連休ならなお幸せ。12日からがお休みなので、金曜日の夕方はえも言われぬ、なんとも楽しい浮かれた気持ちでした。子どもたちとの触れ合いは楽しいのだけれど、やっぱり仕事には頑張る時とそうでない時のメリハリが必要です。

 


12日の土曜日は、近くのデパートに行きました。何度も日記に記していますが、私にとってデパートとはまさにテーマパーク。しかも、この日は自分をとことん甘やかす日として、『昼からお酒を飲んでも良い』と、自身に許可を与えました。デパートにもお気に入りのお店はあるのですが、今日はもっと大衆的で世俗的な、小綺麗というよりも乱雑で、丁寧というよりも活気のある場所を求めていました。つまり、居酒屋で飲みたかったので、大好きな「磯丸水産」で結構飲んだくれました。蟹味噌甲羅焼き、白子ぽん酢、つぶ貝の串焼き、そしてあわびの刺身。たのしい文学や芸術と良いお酒、そしておいしいものにさえ囲まれていれば、私は生きていける。心からそう思いました。


そのあとはデパートを隅から隅まで物色しました。姿かたちの良いバッグ、お花の柄の大きなお皿、いい香りの化粧品・・・ それらを眺めていると、ふんわりと心が豊かになります。この日はかわいい瓶に入ったネイルカラーを3つ買いました。ラメが入っていてまるで宇宙のような黒、南国の海を彷彿とさせるトロピカルなブルー、夕焼け空を絵筆で伸ばして薄めたようなピンク。どれもロマンチックで素敵でした。


デパートから出る間際、宝石展を見つけました。石には全く興味がないのですが、あまりに美しい紫色が目に入ったので、思わず立ち止まって見惚れてしまいました。すると、素敵なジェルネイルをした店員の方が、それは「タンザナイト」というのよ、と言いました。そして、この石はタンザニアという美しい国で発見されたこと、タンザニアの夜ふけのような神秘的な色合いだからその名が命名されたことを、私に説明してくれました。なんて素敵な話なんだろう、とうっとりしました。さすがにその石は買えなかったけれど、広大なアフリカの夜を思い浮かべては素晴らしい気持ちになりました。その日の夜は、ずっとそのことを考えていました。

 

 

13日の日曜日は、予約していたいつもの美容院に行きました。前回、オリーブ系のくすんだ色に髪を染めてもらってから、その評判がすこぶる良いので、そのことを担当の美容師さんに伝えると、少しはにかんでそれはよかったです、と言ってくれました。定番の刈り上げスタイルにしてもらって、いい気持ちになりました。今までいろんな髪型をしてきたけれど、今のスタイルが一番のお気に入りです。早速、昨日買ったネイルもしてみました。私は黒のカラーを選び、丁寧に重ね塗りしてみると、指先はたちまち星空のようになりました。

 

14日はお家でゆっくりしました。夕方には大好きな銭湯に出かけ、心ゆくまでお風呂を堪能しました。

 

15日は、郊外に足を伸ばしてアウトレットに行きました。graniphでおかあさんと一緒の「ワンワン」と「うーたん」が並んでいるTシャツを買いました。私はキャラクターに目がないので、とても気に入りました。財布も探していたのですが、なかなかいいものが見つからず、結果財布は買わないで帰りました。お昼はイタリアンレストランでワインと共にトマトパスタを食べました。この日も夕方に銭湯に行きました。

 

こんなふうに、私のお盆休みは過ぎていきました。あっという間に終わってしまいましたが、それなりに楽しめたので良かったです。たまには連休も欲しいなあ、としみじみ思ったお盆でした。

とてもゆっくりした日

7月26日の水曜日は、仕事がお休みでした。私の住む地域もいよいよ梅雨明けが発表され、今日もまぶしい太陽の光が刺すように肌に当たっています。

 

私はもともと、「これをやりたい」と思ったことに関しては、寝る間を惜しんでとことん突き詰めてしまうところがあります。持病の双極性障害がひどかった頃は、本当に一睡もせず文章を書いたり、何かを作ったりしていました。きっと、もともとそういう「性質」なんだと思います。

 

経験上、夜に眠気が来なくなって、心がいつも「そわそわ」しだすと、これは躁病相の出現の合図です。最近、新しい事業が始まり、やるべき仕事が増えたのをきっかけに、深夜まで机に向かう日々が続いていました。それも、脳みそが高速で回転している感覚があって、いつまでやっても疲れないのです。これはまずいな、と思いながらも、勉強や仕事の手が止まらずにいました。

 

そこで、今日は一日、思い切って仕事や勉強から離れてみることにしました。私の頭の中は常にいろんな「考えごと」でぎっしりですが、今日ばかりは子どもたちのことも、これからのことも、何もかも忘れてゆっくりしようと決めました。

 

朝は、通いすぎて既に顔を覚えられているガソリンスタンドに行って、愛車の給油をしました。スタンドのお兄さんは、私の顔を見て『最近来なかったから心配してたよ』と笑い、車の窓をきれいに拭いてくれました。他愛のない話をして、料金を支払うと、いつもありがとう、とタオルをくれました。またお願いします、とスタンドを出ました。

 

帰宅したあとは、クーラーの効いた部屋でラジオを聴いていました。たまたまつけたNHKラジオには、ピンクレディの伊藤蘭さんが出演していました。彼女のハリのある声や、ピンクレディの名曲を聴きながら、クーラー、気持ちいいなあ、と思っていました。

 


そのあとは、親戚や祖母に顔を出しました。もう高齢だし、この暑さなので、ちょっと心配だったのです。みんな元気そうでなによりでした。本当に取るに足らない世間話をして別れました。ふと空を見上げてみると、雲ひとつない青が、ずっと広がっていました。

 


そして、今日のメインイベントです。お昼ご飯のあと、ちょっとゆっくりしてから、大好きな銭湯に向かいました。私は赤ん坊の頃からの、筋金入りのお風呂好きなのです。サウナの後に飛び込む水風呂、外気浴のなんとも言えない爽快感、そしてお湯に包まれるあの感覚ーーー久しぶりにゆっくりお風呂で癒されることができました。

 


そんなこんなで、このお休みは、仕事にはいっさい手を触れず、心ゆくまでゆっくりと過ごすことができました。もともと仕事が好きなので、こうして何もしないでいるとどこからか焦燥感がじわじわと湧いてくるのですが、今日ばかりはすっかり楽しみました。こんな休日も悪くないですね。

新たな生活が始まりました

7月も中旬に入りました。私はというと、仕事で異動がありました。また新たな環境で、ゼロからのスタートです。まさに今、新しい生活をつくりあげていくことに奮闘している最中です。

 

そのため、今までの場所で関わってきた子どもたちとは、いったんお別れとなりました。彼らには『今日でお別れだよ』とは伝えなかったので、最後の日は、いつもと何も変わらない一日でした。でも、それが私の理想です。私のことは忘れてしまって、私が支援したことで彼らの生活にプラスになったことだけが、ずっと残っていてくれれば何よりです。

 

私が異動になったのは、新しい事業にお誘いがあったからです。誘ってくれたのは、私がこの会社に入社したてのときにお世話になったとある方です。あなたが退職するのはもったいない、そう言ってくれました。私はこの方を非常に信頼しています。この人と働けるなら、そう思って、勇気を出して新しい環境に飛び込むことにしたのでした。

 

新たな職場では、仕事が増え、頼られることも多くなってきました。仕事の責任が、前よりも大きくなりました。

 

職場では、私はある意味孤独です。私は専門職ですが、ここは同じ職種の先輩がいない、いわゆる「一人職場」だからです。正解が見えないなかで、常に勉強の毎日。私たちは子どもたちの未来を変えていかねばなりません。彼らとの関わりは、いつもある種の戦いです。

 

でも、一人職場を経験して、人生で初めて『困難に挑戦することの楽しさ』を感じています。私はもともと怠惰なほうだし、運でここまで生きてきた部分もあるので、こんなに勉強すること、何かに挑戦することを楽しいと感じるなんて、思ってもみませんでした。もし先輩がいれば、私はすぐに「正解」を手にすることができたかもしれません。すぐに答えが返ってこない毎日に、不安がないとは言いません。しかし、それよりも『よし、やってやる』という気持ちの方が大きいです。日々、充実感を感じています。

 

さて、新しい職場では、新たな子どもたちとの出会いがありました。身体は小さいけれど、皆とても賢くて、たくましい子たちばかりです。彼らの成長の速さには毎度驚かされます。そんな彼らの人生の登場人物の一人になれたことを、心から誇りに思います。

 

気づけば夏本番。職場でも、先日プール開きをしました。流れる水に抱かれて、子どもたちはひたすらはしゃいでいました。彼らと、一度しか来ないこの夏を楽しんでいきたいと思っています。これからが、とても楽しみです。