運転について

11月に入ったというのに、暑い日が続いています。今週末に雨が降って、ようやく冬の兆しが見えはじめるようですが、年々と秋の情緒がなくなってきているような気がしてなりません。

 

そんな季節外れの暖かさの11月9日は木曜日。仕事が休みです。しかし今日はやることがあります。ディーラーに行って、愛車のワイパーゴムを交換してもらわなければならないのです。

 

ディーラーまではもちろん車で向かいます。ランダムにJポップを流しながら、愛車を走らせました。もともと私は運転が苦手で、車というものを毛嫌いしていました。危ないし、大金を払わないといけないし、技術がいるし…。でも、今はそうではありません。通勤中や、仕事中に車でちょっと外に出る時間は、いい気分転換になります。

 

運転するたびに、道路って不思議な場所だな、と思います。きれいな服を着た女性や、サングラスに金髪の若い男性、作業服姿で仲間と話しながらタバコをふかしている人、他県ナンバーのいかついトラック運転手。普段は交わることのない、様々な種類の人たちが、様々な事情で同じこの場所に集まっている。そして、私たちはすぐに解散する。目指す行き先に向かうために。その刹那的な偶然性が、なぜだか少し切なくて、なぜだか少し面白い。

 

停車中、ふとルームミラーを覗くと、後ろに停まる車の運転手がよく見えます。難しい顔をしてただ前を見ている人や、気持ちよさそうに熱唱している人もいれば、鼻をほじって青信号を待つ人もいたり、イチャイチャを楽しむカップルがいたり。ふだんあまり意識はしないけれど、この街にはほんとうにたくさんの人が、いろんな理由で存在していて、それぞれがそれぞれの生活を、日々全うしているんだ。車を走らせると、そのことをよく考えます。

 

そうこうしているうちに、ディーラーに到着しました。最近水の弾きが悪いと感じていたワイパーゴムは、やっぱりちぎれていました。交換はすぐに終わり、ディーラーを後にした私は、なんだかドライブをしたくなりました。

 

当てもなければ目的もない、車体の揺れと景色の移り変わりを感じながら、ただただアクセルとブレーキを踏む作業を繰り返す。そんなドライブがしたい。私は愛車とともに、少し離れた街をどんどん進んでいきました。家、家、家、たまに高い建物、たまに川。そしてまた家。私は住宅街が好きです。ここにも、いろんな人生が入り混じっているから。秋晴れのドライブはとても気持ちの良いものでした。

 

ランダムにかけていた車内の音楽が、サザンオールスターズの「TSUNAMI」になった頃、自分がぺこぺこの空腹の状態であることに気がつきました。この辺りでドライブは引き上げて、ちょっとそこら辺のファミレスでゆっくりすることにしました。

 

生活。多種多様な作業の繰り返し。繰り返しの中に渦巻く、変わりゆく感情たちの渦。日々を重ねていくたびに出来上がっていく、自分だけの哲学のようなもの。その循環は、単調なようで実はとても奥深い。そんなことを考えた、ドライブ日和でした。